ある程度、外国人と話をすることに抵抗感が薄れると、そこからあなたの英語の世界が少しずつ広がっていきます。聞きたいことはいろいろあるけれど、どう言えばいいんだろう?失礼にならない言い方って英語にもあるのかな?そう考える人も多いと思います。英語だから敬語に相当する表現はないかも……そう思っていたら大間違い!まずは相手の名前や出身地を尋ねることから始めましょう。
◆知り合った外国人とただの挨拶で物足りなくなってきたら?
麻里子は大阪出身の女子大生。週に1回、英会話スクールに通い、かなり英語に慣れてきたなと感じているところです。もともと大阪生まれだから、最初からネイティブのジョン先生とも日本語とのちゃんぽんで親しくなれた彼女。先生は日本語で「大阪は東京と違って人なつっこいね。まるでアメリカにいるみたいでいいよ」と言います。でも麻里子にも「そろそろちゃんとした英会話、身につけんとあかんなあ」という意識が……。
■【 実例 (Example ) 1 】
Mariko: Good morning, John. 先生、今日どないすんの?
John: Now stop speaking Japanese. Today, we practice correct English conversation.
(日本語で話すのはストップ。今日はちゃんとした英会話を練習するよ)
Mariko: Correct English conversation? (ちゃんとした英会話?)それやったら最初からやってるやん?John: Well, you know…… (あのねえ……)[He is a little embarrassed.]
几帳面で真面目な東京人と異なり、自分が英語を話せなくても恥ずかしがらない関西人。全く同じ日本人?と外国人も驚くそうです。そのおおらかな気質はフレンドリーなアメリカ人には居心地が良いとの意見が圧倒的。
▶同じ人間どうしやろ?
関西では多少地方に差がありますが、根っからの「ネイティブ関西人」は「外人さんいうても怖いことあらへんやろ?」という意識が強いのです。
▶通じればええんや!
大学ではまるっきり英語はできないのに、バイトで貯めたお金で世界一周をするのが趣味という男子学生も。英会話なんてそっちのけ、ただジェスチャーと Hi, Thanks のみでOKや!です。
▶日本人全体が持つ感覚
こうした関西人気質はぜひ日本人みんなが持つべきです。日本語を学ぶ外国人もほぼこれと同様、「間違っても恥じゃない」と日本語をどんどん話そうとします。
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▶Grammar (文法)⇒ Words & Phrases : Now
ここでは「今」という意味合いはなく、「さあ」と相手を促すニュアンスがあります。(例)Now calm down, boys. (さあみんな落ち着いて)
▶stop speaking
stop は「止める」ということですが、「何を止めるのか」をはっきりさせる必要があります。その止める対象を後に続ける、つまり「目的語を必要とする動詞」なので他動詞 (start, makeなど)です。その目的語は名詞です。この場合、speakを~ing形にし、いわゆる動名詞を目的語としています。
(例)Stop walking here. (ここで歩くのを止めて)/ Maggy, start playing the piano and make your performance. (マギー、ピアノを弾き始めて、演奏をして)
▶correct
正しい、正確な(類例:right, exact)(※)少し和らげた語にproper がありますが、ここでは「ちゃんと通じる英会話」を話題にしているため、correct となっています。
(例)Write the correct answer, please. → Take proper measures, please.
(正しい答えを書いて下さい→ 適切な処置をとって下さい)
▶Well, you know……
つなぎ言葉。★ネイティブの人々は言葉の前後によくyou know, …… を挟みます。★アメリカで子供たちがあまりに You know, Mom, you know……を連発するので、母親たちがNo, I don’t know! (「えっと」じゃないでしょ!)と言って言葉遣いを正そうとしたという話があります。
embarrassed
embarrass 「~を困らせる」これも他動詞です。自分が「困る」場合には [be +過去分詞]にします。
(例1) I’m studying this report now. Don’t be so noisy. You two embarrass me. 《他動詞》(僕は今この報告書を調べているんだ。騒ぐなよ。お前たち二人には困るよ)
(例2) When you asked me where I lived, I was a little embarrassed, I don’t know why. 《自動詞的用法》(あなたが「どこに住んでいるの」って聞いた時、なぜかわからないけれど、私少し困ったのよ)
◆英語で相手の名前や出身地を尋ねてみよう!
日本人どうしでもそうですが、外国人とも親しくなると、相手のことが知りたくなります。当然ですが、相手の名前や、どこから来たのかを知ることは円滑なコミュニケーションの第一歩です。
■【 実例 (Example )2 】
John: Abernethy. John Abernethy. (アバネシー。ジョン・アバネシーです)
Mariko: Sorry, I can’t catch you. What’s your name again, please?
(すみません、聞き取れませんでした。もう一度お名前お願いできますか?)
John: Abernethy. (アバネシーです)
Mariko: I guess it’s a rare name, isn’t it? (それは珍しい名前じゃないでしょうか?)
John: Well, I don’t know, but probably so. (さあわかりませんけど、多分そうかもしれませんね)
Mariko: By the way, I’m curious what state in America you are from.
(ところでどちらの州のご出身ですか?)
John: From New York. Have you ever been to New York?
(ニューヨークです。行ったことはありますか?)
Mariko: Oh, not yet. But I wish I can go there someday.
(ああ、まだないんです。でもそのうち行きたいですね)
▶丁寧過ぎず無礼過ぎず
この会話の内容は、日本語を見るとごく自然な丁寧な会話です。少し親しくなった相手と会話をするのに適した内容で、それに相当した英語表現となっています。
▶会話の流れに注意!
人と話をしていて、質問したくなったり、受け答えするのに最低限基本となる、この会話の流れに注目して下さい。
▶「相手の名前と出身地を尋ねる」目的として
必ずしも会話がこの例通りに進行するわけではありませんが、「名前と出身地を尋ねる」会話例として1行ずつ書いて、声に出して覚えてみましょう。何回か繰り返したら、自然に頭に入るようになります。
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◆Grammar (文法)Words & Phrases : sir
多少距離を置いた相手に丁寧に話かける際に使います。主として英国人に対する表現と思われがちですが、相手が目上だったり先生だったりする場合は、米国人に対してもこの一言があるとないとでは、かなり違ってきます。
▶I know
「確か~ですよね」自分が確信をほぼ持っている場合。I’m sure (that)~とほぼ同義です。
▶my neighborhood
「近所」という言葉を知っておきましょう。よく見かける相手と話す際に出てくる言葉です。
(例)What kind of neighborhood do you live in? = Where do you live? の丁寧な表現。
(どちらの方にお住まいでしょうか)★what kind of~=どういった類の、どんな
■May I have your name, please?
「お名前は何とおっしゃるんですか」相手の名前を尋ねる際の無難な表現です。あまり親しくない相手にいきなり What’s your name? と言うよりは丁寧です。
(※)冒頭の助動詞(May, Can)で丁寧さを表現することができます。
⇔ 初めて会う相手、やや親しくなった相手であっても Your name? / Tell (Give) me your name. は無愛想で失礼な印象を与えてしまうので要注意!
■I can’t catch you. What’s your name again, please?
相手の名前が聴き取れなかった際に、そのままで放っておくのは失礼です。落ち着いて聞き返すことが肝心です。★catch=聴き取る、把握する
(※)やはり冒頭の助動詞 Wouldで丁寧さを表現 / catch はsee とは異なり「瞬間的に把握する」の意。
I guess ⇒ あまり確信できない、推測で話を控えめに切り出す場合。「~ではないでしょうか」
(※)I think~と同義ですが、guess の方が「明確ではないが何となくそう思う」という気持ちが伝わります。
rare ⇒ (貴重な意味で)「珍しい」(※)「めったにない」という意味では uncommon, unusual もありますが、両者には abnormal (異常な)や皮肉めいた意味も含まれるので、相手の名前が珍しい場合には使わない方が無難でしょう。
isn’t it? ⇒ 「~じゃないでしょうか」相手に自分の感想に同意するか確かめる表現。《 付加疑問 》
(※)It’s (=It is) a rare name, isn’t it? → It is~に対して、語尾で否定表現 it isn’t を逆にします。
(例)I guess it’s an old documents of Egypt, isn’t it? (これはエジプトの古文書じゃないでしょうか)
▶document=(証拠となる)文書、書類
probably so ⇒ 「多分そうかもしれません」→ 相手の It’s a rare name, isn’t it? に対して、Probably (I think it’s a rare name). と応えるところをその内容の繰り返しを避け、so で簡略化しています。
By the way, ⇒ 「ところで」→ 話題を変える時によく使われます。
【 類例 】Well, did you get the ticket of theater you wanted?
(ところで欲しがっていた劇場のチケットは手に入った?)
▶I’m curious what state in America you are from.
「(アメリカの)どちらの州のご出身ですか」
→ I’m curious~でやや強い関心を示します。(例)I’m curious to know how that old clock works.(あの古時計がどう動くのか知りたいね)
(※)相手の出身地を尋ねる場合は May I ask you what country you are from. / Where in the States are you from? でも構いません。(どちらの国からいらしたんですか。/ どちらの州からいらしたんですか。)
→ I’m curious や May I ask you が冒頭に来る場合はその後の疑問文は目的語と同じ役割なので、普通の疑問文の語順ではおかしくなります。★☓→ May I ask you where are you from?
【 類例 】Which part of U.K. are you from? (イギリスのどちらからいらしたんですか)
★「イギリス」を表現するのには Englandよりも (the) U.K. (=the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland) またはBritain が一般的です。England だけではウェールズやスコットランドを無視した表現になるためです。
▶Have you ever been to New York?
経験を表す《 現在完了 》の表現。「~に行ったことはありますか?」Have you ever been to~ → これも相手の経験を尋ねる時によく使われるので覚えましょう。
(※)「行ったことがあるか」と尋ねる慣用表現。★☓→ Have you ever visited New York?
▶not yet
I have not been to New York yet. を簡略化した表現。★yet は否定文、疑問文で使います。
まとめ
この程度まで会話が続くようになったら、内容のある英会話の第一歩を踏み出したことになります。曖昧な表現のまま放っておくのではなく、関西人のような大らかな気持ちで、間違ってもいいから話してみること、そして誤りはその都度恥じることなく訂正。そうした実体験が少しずつ土台となり英会話の自信の礎となるでしょう。