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あなたの英語力を翻訳家として活かすには?

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外国語と母国語の専門家、翻訳という職業。どうしたら翻訳家になれるか、そして実際の仕事とは何かについて考えよう。

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翻訳家になるためにはどの程度の英語力が必要か?
翻訳家は何をしているのか、必要な英語力とはどれくらいなのかを考える。
どうすれば翻訳家になれるか?
実際に翻訳家として活動するにはどうしたら良いか。
英語がわかることと、翻訳ができることの違いとは何か?
単に英語が得意なだけでは翻訳は務まらない。翻訳に必須の能力とは。

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翻訳家になるためにはどの程度の英語力が必要か?

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1. 翻訳家の種類と職業

翻訳家には、大きく分けて出版翻訳と実務翻訳がある。前者は出版社などから依頼を受けて一冊の本を日本語訳、または英語訳することを専門としていて、世間の翻訳家のイメージに近いだろう。

一方で実務翻訳とは、突発的なニーズなどに合わせて翻訳を行うものだ。例えば海外から送られてきたメールを翻訳したり、海外との提携のための契約書を英訳したりしてほしいといった依頼を受けることを専門とするものである。

どのような種類の文章を翻訳するかについては様々だ。医学系の専門書を翻訳してほしいということもあれば、契約書や法的な書類を翻訳してほしいということもあるだろう。化学系統の記事を翻訳することもあれば、アートの解説や物語や詩を翻訳することもある。だが多くの場合、翻訳家はそれぞれの専門を持っているのである。

2. 専門的な翻訳

翻訳家が専門化していくのは、ひとえに全てのジャンルを網羅することが非常に困難だからだ。専門的な翻訳には、その文章に対する背景知識が必要不可欠になる。そのため英語の文法や語彙だけではなく、専門とするジャンルの知識が必要なのだ。それを学び続けるうちに、どんどん専門化していくのである。

3. 必要な英語力と下知識

これはその翻訳家がどの程度のレベルの翻訳を請け負うかによるが、いずれにせよ少なくとも非常に高いレベルが求められるのは間違いない。専門的な語彙については仕方ないにせよ、基本的な語彙についてはその殆どを知っていなければならない。

例えば、「冬眠」や「夏至」など、日本語では基礎知識として知っていることを、どれだけ英語で言えるだろう。そうした総合的な語彙と、その上で専門的な語彙が求められるのが翻訳家という仕事だ。

どうすれば翻訳家になれるか?

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1. 翻訳家に必要な英語力はどう身につけるか?

英語力を身につける方法として、手っ取り早いものは存在しないのだということは、おそらくこれを読んでいる人たちはすでに気づいているはずだ。それは、心構えの問題なのだということにも。

翻訳家に必要なのは、英語という言語を常に学習者として学び続ける意志である。翻訳を通じて知らない単語を学び、文法の規則と時に”反則”を学ぶ。それを次の仕事に生かし、より高い精度と早い完成を目指す。その繰り返しを苦痛と思うか、それとも楽しいと感じるかが最初の分かれ目だろう。

具体的な目標がほしいなら、英検準一級やTOEIC800点を取ることを目指すと良い。そしてそれがスタートラインだ。そこからさらに、仕事を通じて様々なスタイルの”英語”を学ぶのである。

2. 翻訳家になるにはどうしたら良いか?

実は、翻訳家には特にこれといった必須のライセンスがない。そのため、翻訳家であると名乗ってしまえば翻訳家である。あなたが自分の英語力に自信があるのなら、誰かからそのような依頼を受ければ即翻訳家として活動できる。

現在では、クラウドソーシングやソーシャルネットワークなど、様々場所で翻訳の仕事を受けられる機会があるため、仕事を募集すること自体は難しくない。問題は、どうやってそこから仕事を得るかだが、それはあなたのプロフィールや実績に関わっている。あなたがいかに有能な翻訳家なのかを相手に納得させねばならない。それが最初にして最大の難関だろう。

もちろん、どこかにお抱えの翻訳家として雇ってもらうこともできるだろう。ただ、そのためにもまずは小さな仕事から積み重ねて行くことが必要だ。逆にフリーとして、副業的に翻訳を続けることもできる。あなたの英語力さえ十分なら、翻訳家として活動すること自体はさほど難しいことではない。

英語がわかることと、翻訳ができることの違いとは何か?

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ひとえに、原文を書いた人の意図を読み取ることができるかどうかである。例えば、I hate to do that.という文章を、「私はそれをするのが嫌いです」と訳して満足しているようではいけない。場合によっては、「ちょっとそれは気が乗らないね」だったり、「そんなことしたくない」だったり、「よくそんなことできるね」だったりするだろう。

通常、学習するときは、誰かに採点してもらうために逐語的に訳すことで、「私はこの文章の文法と語彙を全て理解しています」というアピールをする必要があったが、翻訳はそれでは成り立たないのだ。

翻訳ができるというのは、原文の意味を理解し、作者が伝えたかったのであろうことを、時には原文以上に優れた文章で代弁することだ。英語を日本語にするだけでは、翻訳家は務まらない。

まとめ

翻訳家は、活動を開始するのは簡単だが、実際に活動していくには絶え間ない努力が必要な仕事だ。だが、やりがいはある。原文が持つ、あなたが感動した言葉の美しさを、そのまま誰かに伝えること。それはきっと、他の仕事にはない素晴らしいやりがいと言える。あるいはあなたの翻訳が誰かと誰かを繋ぐというやりがいも、きっと見いだせるだろう。

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