これまで英文を読む中で「英語表現を自分のものにする」活用方法、すなわち「使える英語表現を『表現集』としてリストアップしていく」ということを学んできました。そして「自らその表現を使って英文を書くノートを作る」という学習法をご紹介しました。それらを通じて、もう一度英文全体を読み返して見て下さい。最初に読んだ時よりもスラスラと頭に入ることと思います。
そうすると、今度は1パラグラフごとに暗唱するという方法も、英語力を定着させる上で十分有益です。英語に慣れるだけでなく、暗唱した内容が記憶の隅に残り、会話やライティングの際に応用できるという大きなメリットがあります。さて今回も The World Is Stage の後半、第3~4パラグラフを読んでみましょう。
「演ずる上でのチームワーク、そして観客との関係」に着目して!
エッセイの内容は、演劇クラスの担当の先生から授かった役者としての心構え、そして責任感と演ずる際の実感といった、独自の感想を膨らませる方向へ発展しています。筆者と同じく演劇クラスの生徒になったつもりで読んでみましょう。そして、英文による表現の面白さを十分感じて下さい。
■【 第3段落 (The third paragraph) 】
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- 演劇は一人ではない
- 「一人芝居」という劇もありますが、この場合は複数で物語を演じます。チームワークの大切さがどのように表現されているかを読み取ります。
- 演ずる時の気持ち
- 筆者は役者として舞台に立つ時、どのような心情であると語っているでしょうか。
- 観客という存在って?
- 筆者は観客をどのように感じ、表現しているでしょうか。
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◆Grammar (文法)⇒ Words & Phrases :
Like that exercises
前回の末尾 For example, one day he had me stand straight,~knowing that he would be there to catch me の内容。
a team effort
「演技グループの努力」
◆Question【A】
a team effort に内容がほぼ一致する表現を上記の第3段落から見つけてみましょう。
(単語5語)(※解答は全訳の下にあります。)
production
(英英辞書): a performance or series of performances of a play or show 「劇の上演」
(例)We will have a school production of Romeo and Juliet next week.
(来週学校で『ロミオとジュリエット』の公演がある)
not effective or complete
(※)このnot は二つの形容詞にかかります 「効果的でも完全でもない」
× not effective or not complete
performance
(英英辞書):acting, singing, dancing, or playing music to entertain people 「上演・公演」(例)Jonny will act well in the performance of Shakespeare’s Hamlet next month.
(ジョニーは来月あるシェークスピアのハムレット上演でうまく演ずるだろう)
courageous
(英英辞書):brave 「勇敢な」
(例)How courageous of him to say so! (それを言うなんてあいつは勇気があるね!)
All eyes are upon us. 「全ての目が私達に注がれている」(直訳)
◆Question【B】
この英文の内容とほぼ同一のものを次から一つだけ選んでみましょう。
- 1. All the teachers are watching to our performances.
- 2. All the world are looking for the best performance.
- 3. All the people in the theater are expecting our acts.
bare our heart-felt emotions
bare (英英辞書):disclose, not covered by anything 「むき出す」
(例)Please bare all your heart to me. (心の中全てを私に打ち明けて下さい)
◆Question【C】
この英文 (bare our heart-felt emotions) の内容とほぼ同一のものを次から一つ選んで下さい。
- 1. disclose our happy feelings
- 2. disclose our true feelings
- 3. disclose our angry feelings
convey *them
ここでの them は次の文のproject *them と同一です。=our heart-felt emotiions
★convey
(英英辞書):to communicate information, feelings, or images to someone 「伝える」
(例)Words cannot convey how glad I am. (私がどんなに嬉しいか言葉では伝えられません)
sincerity
(英英辞書):a heart which is honest and saying or showing what you really feel or believe
「誠実さ・正直さ」
(例)I’m not doubting your sincerity for a moment. (君が嘘をついているなんて全く思っていないよ)
★sincerely (sincerityの副詞形)では手紙によく使われます。結びの言葉として Sincerely yours 「敬具」
project
(英英辞書):to do a piece of school work that involves detailed study of a subject/
to do a carefully planned piece of work that has a particular purpose 「課題・企画を発表する」
(例)We are going to project on the environment in our class. (私達は環境についての課題を発表します)
an audience almost hidden=an audience [who are ] almost hidden 「ほどんど隠れている観客」
(関係代名詞+be動詞:who areの省略)
(※)この場合audience を一つの集合体とみなしているため an が付きます。
★audience
(英英辞書):the people who sit and watch a performance at a theatre, cinema, etc:
「観客」(例)There are a lot of children in the audience. (観客には子供達が大勢いる)
観客とは俳優にとってどんな存在か?その描写を味わって内容を理解しよう!
■【 第4段落 (The fourth paragraph) 】
- 観客の重要さ
- 演劇クラスの先生は観客の意義を学生達にどのように教えているでしょうか。
- 俳優の繰り広げるドラマ
- 観客の人々はどんな存在であると筆者は語っているでしょうか。
- 観客が演劇から得られるものとは?
- 筆者は劇というものが観客の人々に何を与えると表現しているでしょうか。
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◆Grammar (文法)⇒ Words & Phrases :
taught
トマス先生が教えた内容は that 以下で述べられています。
→ without the audience, there can be no show. = there can be no show without the audience.
(※)助動詞 can を用いて強い可能性(またはその逆)を強調します。ここでは no により強い不可能性を表現。
「観客なしでは舞台などあり得ない」= there cannot be any show without the audience. としても同様ですが、
can be no ~ により「舞台があり得ない絶対性」を表現することができます。
fellow
(英英辞書)people who share your interests or situation 「仲間の」
(例)Beatrix has earned enormous respect from her fellow artists.
(ベアトリックスは仲間のアーティスト達から多大な尊敬を得るに至った)
want to
このto はもう一つ文中にあり、観客が望んでいることを更に and to experience~ で表現している点に注意して下さい。
something new
「something + 形容詞」で「漠然とした何か」を表現できます。
(例)Agatha’s story always made me something odd, curious and sometimes horrible, but I eagerly hoped her to tell me another one, for her story gave me something mysterious and unknown world.
(アガサの物語はいつも何か奇妙で不思議で、時として怖ろしいものだったが、私は彼女にまた別の話をしてくれないかと熱望した。彼女の話は私に何か神秘的で未だ不可知な世界を与えてくれるからだった)
find themselves
(気がつくと)~であることがわかる
(例)Edith and Gillian found themselves with little to fall back on.
(イーディスとジリアンは気がつくと頼るものがほとんどない状態にいた)
being inspired to~
感動して~となる
(※)この場合はすぐ前の find themselves から続いています。find themselves to be inspired to~としても同様ですが、to be の部分をbeing と一語でまとめることができます。
(例)After the great epic film, Hester found herself being impressed deeply and tears kept rolling down for a while.(その壮大な叙事詩である映画の後、気がつくとヘスターは深く感動し、涙がしばらく止まらなかった)
■以上の英文を読んでみて、「この表現は使える、使ってみたい」と思う箇所がいくつか出てきませんでしたか?それらを使った独自の英文を書いてみるのも英語力の向上に繋がります。
- (例)
- 1.Like that exercise, an orchestra is a team effort.
- 2. Without the support of fellow doctors, I couldn’t succeed that hard medical test.
- 3. Without you, our performance would not effective or complete.
- 4. During the act, all eyes are upon me.
- 5. Your expression must be real for you are an actor.
- 6. I had to bare my heart-felt emotions and conveyed him with sincerity.
- 7. We cannot forget an audience almost hidden in darkness.
- 8. My father taught me that, without my sincerity, there can be no trust in this world.
- 9. The theater is filled with fellow human beings who want to share the laughter and fantasy and to experience something new.
- 10. We may even find ourselves being inspired to become more honest in our own lives.
《 全体訳 》
慣れないうちはこちらを読んで、英文に目を通すというのも一つの方法ですが、なるべく英文全体を読み通してから確認のためにこちらを読むようにしましょう。
その練習のように、演技というのはチームによる努力なのです。仲間の役者の支えがなければ、劇の上演は何の効果もなく、完全なものにもなりません。私にとって演技は勇気のある行動です。観客全員の目が私たちに注がれているのです。私たちの表現は真実でなければなりません。心で感じた率直な感情をむき出しにし、その感情を誠実に伝えなければいけないのです。暗闇の中にほとんど隠れている観客の人々に私たちの感情を明確に表明しなければなりません。
トマス先生は「観客がいなければ劇は成立しない」と教えてくれました。観客の人々は見知らぬ人々の集団ではありません。笑いや涙、幻想や逃避を共に共有し、何か新しいことを経験したいと望んでいる、私たちと同じ人間たちで満ちているのです。(劇の上演の後)観客の人々は知らぬ間に感動し、己の人生でもっと生き生きと、また誠実になっていることさえあるかもしれません。
◆Question【A~C】:Answers
B: ⇒ 3
C: ⇒ 2 (disclose our true feelings)
本記事のまとめ
2.分からない語はチェックをしておき、後でまとめて調べる。
3.なるべく英英辞書を使い、その意味と例文をノート【表現集】などを作って記しておく。
4.「これはいい表現」と思った箇所は、その表現を使って自分なりに英文を書いてみる。
こうした努力が定着すれば、再度英文全体(第1~4パラグラフ)をよく読み、パラグラフごとに暗唱してみるという、遠回しのようで英語の実力が大変つく方法を試してみましょう。暗唱の前に英文全体を細部まで知り尽くすことがポイントです。そして頭に入ったかどうか、自分でタイピングまたはノートに書いてみる。きっと以前よりも英語に自信がついている自分がそこにいることでしょう。また決して忘れてはいけないことは、自分の関心のある英文を読むということです。
(出典:“The World Is a Stage” is quoted from Modern Topics level two by Lynx Publishing Company. Canada, 2004, co-published by Macmillan Language House Ltd., Tokyo, Japan)