英語という言語を修得するために、留学は必須だと考える人もいる。果たして留学と語学習得の関係とは。
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- 留学に必要な英語力はどれくらいか?
- 留学するとして、どれくらいの英語力が必要になるのか。
- そもそもなぜ留学するか?
- ただ漠然と他の国に行ったとしても、それは単なる旅行になってしまう。旅行と留学の違いについて考える。
- 留学することによるメリットとは何か?
- 留学でしか得られないものがあるとしたら、それはなにか。
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留学に必要な英語力はどれくらいか?
1. 留学に必要な英語力はハードルが低い
ざっくばらんに言ってしまえば、英語が話せなくても留学することは可能だ。殆どの人は中学校卒業程度、あるいは高校卒業程度の、なんとなくの英語力は持っているはずで、コミュニケーションとなればそれで十分なのである。
2. 学習とコミュニケーションの違い
学校生活や自学自習として英語を学習してきたことと、英語でコミュニケーションをとることは雲泥の差である。なぜなら、実際にコミュニケーションとなれば目の前に人が居るので、表情や身振り手振り、声色やペースなどがリアルに感じられるからである。
そして実際、(言語にかかわらず)人間はコミュニケーションの際、言葉の意味それ自体よりも、話す人の目や表情、声色や感情、状況や前後関係、人間関係などから情報を得ている。そのため、言葉のほとんどが分からなくても、ボディランゲージやthisやthatの多用、pleaseとdon’t、yesとnoの違い程度を理解できていれば、たどたどしいとしてもコミュニケーションをとることは可能である。
そして、コミュニケーションとなれば、それでいいのだ。あなたは、外国人が道端でたどたどしい日本語で話しかけてきたときに、その日本語を馬鹿にしたりするだろうか。おそらくは、丁寧な気持ちでそれに答えようとするだろう。逆の立場だとしても、それは同じである。
そもそもなぜ留学するか?
1. 留学と旅行の違いはなにか
留学と旅行に違いがあるとしたら、それはなんだろうか。何かを学ぶ目的があれば留学で、そうでなければ旅行か。長いスパンで海外に滞在すれば留学で、それ以外が旅行か。あるいは、大学などを通じて学ぶことが留学で、個人で行く分にはすべて旅行か。
おそらくは、何か学ぶ意志があって海外に短期間でも滞在しようと思うのなら、それは留学だ、と多くの人は感じるだろう。だがそうだとしたら、留学と旅行を分けるのは、本人の意識の違いでしかないということになるのである。
2. 目的意識を明確に
だからこそ、留学をしようと考えるのなら、その目的意識ははっきりとしていなくてはならない。英語を喋れるようになりたい、だとか、海外の文化を勉強してきたい、というような目標は、実は曖昧なものだ。
目標を立てるときに重要なのは、それが達成できたかどうかがはっきりと分かるシステムを用意することである。例えば、英語を喋れるようになりたい、というのは、「海外のバーで、マスターと英語で会話したい」だとか、「日常会話を英語でこなし、日本語を一切使わないまま帰国したい」といったように、達成できたかどうかがはっきりと分かる目標に書き換えることが必要だ。
多くの場合、目的が曖昧なまま留学しようとする。そうすると、留学した結果として何を得たか、自分でも曖昧になってしまうのだ。それでは、旅行と変わらない。せっかくの志がもったいないというものである。
留学することのメリットとは何か?
1. 留学することで語学は上達するか
はっきり言って、留学だけでは語学は上達しないだろう。無理矢理に語学を上達させようというのなら一ヶ月、三ヶ月、半年と長い時間が必要になる。留学することで語学を上達させたいというのなら、積極的な気持ちが必要だ。
積極的に語学を上達させようと考えたあなたは、多くの人達と英語で話し、コミュニケーションを取ろうとするだろう。そして何よりも、その「コミュニケーションを取ろうとした」という勇気があなたの財産になるのである。
英語を喋れない理由として一番多いのは、英語力の難ではなく、英語を運用しようという意気込みや勇気が足りていないことなのだ。
2. 別の国という環境
留学することによって、別の国を体験できる、というのはやはり大きな財産になるだろう。そしてそれは、英語力の面からも無駄ではない。例えば、おむつや乾電池、スーパーなどのビニール袋や買い物カゴ、栓抜き、お会計、割り勘など、日常的にはよく使うはずなのに知らない単語があることに気づくに違いない。
そうした、語彙の穴を埋める方法として、留学は最適だ。「そういえば、どうしてこんな基本的な言葉を知らなかったのか?」そんな風に思ってしまうようなことが多いかもしれないが、そんな時に凹むのではなく、新しい言葉を習得したのだと胸を張れるようであれば完璧である。
まとめ
最後に、留学が語学習得に必須かどうかについて個人的な見解を出しておこう。必須ではない。留学は、語学習得のために「絶対に必要」というものではないのである。だが、留学したかどうか、というのは語学の運用の面で大きな違いとなって現れることは間違いない。興味が少しでもあるのなら、目的を定めてそのために留学するのは決して無駄にはならない。まずは一歩、世界に飛び出してみることも重要だ。