そもそも留学とは何でしょうか。漢字から考えると「留まって学ぶ」「学ぶために留まる」というような解釈になるでしょう。ここから読み取れることには、「学ぶ」という動詞が含まれていること「留まる」という状態に立つことの2つがあります。
留学ってなんだろう
「留まって学ぶ」
要は「メインは学習である」ということです。学習が必須。勿論、学業という意味での学習(勉学と言った方が分かりやすいですね。)も大事ですが、留学先で得る体験、感覚、感情など吸収したことやそれらを自分の中に今まであったものと融合させてアウトプットすること、これら全てが「学習」ではないでしょうか。ただし、ただ海外に行っただけ状態の受け身な留学になってしまうと無駄極まりない贅沢、になってしまうので、留学には「吸収してやろう」という主体的な姿勢や意欲、目的意識を持っておくことなどが重要だと思います。
「学ぶために留まる」
これは海外に滞在するという場所・位置の意味での「留まる」の他に時間的な意味でもあります。今では留学方法も多様化して短期留学のような比較的短いスパンで行って帰ってくることができますが、一昔前は「留学」というと一年以上海外に滞在している方が普通だったのです。大学などに在籍していた場合は学年が一つ下がるなどのリスクもあったものです。今はシステムなどの改正で学校によっては配慮してもらえるところもあるようですが。何が言いたいかというと、海外に留まる以上、それなりの時間が必要であり、その期間は母国にいないという位置的制約がかかるということです。(例え短期だとしても)そのような制約の中で自分は①のように「学習」ができるのかどうか。覚悟や計画が必要なのはお分かりいただけたかと思います。
では、次からは留学することで自分はどう変化するかその可能性について考えてみましょう。
言葉は背中を押してくれる存在
まず、留学先で使う言葉は自分の母国語ではありません。
英語など外国語を使って暮らすことになります。たった一回の留学でペラペラと流暢に話せるようになるわけない、とひねくれている方もおられるかもしれませんが(笑) ただ、外国語を自分は話せない・使えないと知った時の感情、そこからどうすればいいかという工夫、その結果、自分では理解できないスピードや訛りで話された時の疎外感などなど言語関連だけをとっても留学することで様々な「学習」のチャンスが転がっているのではないでしょうか。語学自体を勉強する、というのは母国でもできるでしょうが、このように様々な「学習」を語学というものを通じて経験できるのは留学の良さだと思います。生きた言語を学ぶ、という言い回しはこうしたことから生まれた表現だと個人的には思っています。
「母国じゃない国」にやって来た。
母国じゃない国、ということはまず、母国の常識は通用しないことが多々あります。探せば探すほど「あれ!?」というところはたくさんあります。それは人々の生活習慣や価値観だけではなく、街中や街並み、聞こえてくる音や気候など数えだしたらキリがありません。私事ですが、初めて海外に行った時、パトカーのランプが青だったことや道路の進行方向や車のスピードが日本と違うこと、税金やチップなど、些細なことですが「あれえ?」と感じました。
逆に母国と似ているようなところや、基本だけが似ているところを見つけることもあります。例えば、ある国は日本のように伝統文化を大事にしているけれど違うところとしてはしっかりお金をかけて保証していたり観光産業化していたりする点など。比較してどっちが偉いとか進んでいるとか優劣をつけるのを目的とするのではなく、比較することでそれぞれの状態や事象の背景まで捉えて母国や自分はどうすればより成長するか、それをどう捉えてどう生きていくかなどを考えた上で自分の今後の意識や行動に反映させていくことが重要だと思います。
とはいえ、予想外なことに驚いたり酷い目にあったり受け入れるのに時間がかかったり、良い意味での発見ばかりではないかもしれません。ただ、それもそこに行かなくては出来なかった「経験」なのですから。時間がかかってもいいのでその事象も愛せるような、笑い話にできるような心の広い人になれたら、あるいは、もう二度と同じ失敗をしないような注意深い人になれたら、そのことだけでも大きな成長でしょう。
じっくりと見たことがありますか?
一体何を!?となった人もおられるかもしれませんが、皆さんは「自分自身」と意識して向き合っておられるでしょうか。かといって、鏡でじっくり見る、ということではありません(笑) 留学は自分のいいところ、悪いところ、こんなところもあるんだという意外な発見など自分の性格について分析できるいい機会でもあります。また、慣れない土地で行う様々な選択や決定を伴う様々な経験を通じて、「あ、わたし、こんなことができるんだ」とか「わたしこんな考えや価値観をもとに行動していたんだな」とか自分の成長過程を目撃したり自分の今までを振り返る材料を手に入れることができたりします。留学は自分自身にじっくり向き合う、いいきっかけになると思います。
お手本はそばにいる?
意外と身近に「先輩」はいるものです。例えば、学校に留学生や転校生が来た時、彼らにとってはアウェーの土地で暮らしていく訳です。彼らがどのようにまわりに馴染んでいくのか、どのような努力をしているのか、彼らと積極的に関わりを持ったり観察したりすることで、自分が留学でアウェーの土地に行く際にその姿勢や気構えの参考になるかもしれません。
もちろん、最近は留学が身近になってきているので、「留学経験者」の体験談や失敗談も参考になると思います。自分の行きたい場所や時期とその人の経験が違っていても聞いてみる価値は大いにあります。積極的に情報収集しましょう。
一生ものの経験となるかは○○次第
さてさて、ここまで書いてきていったい留学には何が必要なのでしょう。私は「覚悟」ではないかと思っています。「私は留学するんだ」といった覚悟を決めると、自分は何を目的にして留学したいのか、そのためには自分には何が必要なのか、どんな情報を元にしながら計画を立てようか、などと意欲や意識を持って「留学」に臨むことができると思います。せっかく、時間やお金を使ってする留学です、有意義なものにしたいですよね。大事なのは「覚悟」です。ただ「留学したいよー!」と叫ぶ前に、静かに覚悟を決めて「留学」に挑んでみてはいかがでしょうか。