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あなたの英語を言語学者として活かすには?

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英語という言葉自体が好きだというのなら、それを科学するという道もある。英語を科学するとはなにか、そのためにどうするかを考えよう。

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言語学者とはどういう職業か?
言語学とはどういう職業か。何をすることで生計を立てるのか。
言語学者になるにはどのような勉強が必要か
そもそも、言語学者とは何なのか。どうやって勉強すれば良いのか。
英語がわかることと、英語を科学することの違いとは何か?
英語を、ひいては言語を科学するとは何か。

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言語学者とはどういう職業か?

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1) 言語学の種類

言語学とは、英語に限らず様々な言語を科学し、その仕組みを理解しようと務める学問である。ただ、一口に言語と言っても様々な側面があるので、その枝分かれは多岐に渡る。

文法学、語彙論、意味論、あるいはその言葉を使う人の心や、社会。言葉というものは人間が使うものであるが故に、研究の対象はどこにでも存在しているのである。もちろん、ロゼッタストーンのような、まだ未知の言語の解読も言語学の見地から研究することができるだろう。ロマンのある学問だ。ロマンのない学問など、ないのかもしれないが。

2) 言語学の役立ち

言語学がどのように役立つか、という点に考えたとき、例えば文法学によって文法を簡略化することに成功したら、それは教育や学習の過程で役立つことだろう。

あるいは、ある暴力的な集団や社会を研究した時に、その発話量として特定の語彙が異常に多いということがわかったら、その言葉を検閲すればその暴力性が収まる、かもしれない。いやいやその前に、言葉と人間がそもそもどれくらい関係しているのか、それを研究することが先決かもしれないが、もちろんそれも言語学の仕事のうちの一つだ。

3) 言語学者の生計

学者の生計としては、様々なパターンがある。だがやはり一般的なのは大学で教鞭を取ることだろう。あるいは、自分の研究成果を出版したりすることであるかもしれない。または、その叡智を活かして何かのアドバイザーになることかもしれないし、あるいは巨大な研究プロジェクトを運営するのかもしれない。その可能性は、様々だ。

言語学者になるにはどのような勉強が必要か?

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1) 科学的な思考

あらゆる実験は、科学である。ある実験を誰かが行ったとき、別の人が同じ実験を行ったとしたら、そのやり方が一緒であれば同じ結果を得られなくてはいけない。また、数字を読み取り、それが意味するものを客観的に判断しなければならない。

言語学者になるために、仮にそれが英語を対象としているとしても、英語の超人的な専門家である必然性はない。もちろん、ある程度の英語が読めないとそもそも英語を研究できないだろうし、海外に論文を発表したり、海外の論文を読んだりすることもできないだろう。だが、少なくとも誰かに認められるための検定などは不要だ。

その分、前述したような科学的な思考を養うことが重要になる。因果関係を正しく把握し、適切な実験を行い正しくデータを読み取る。その思考訓練は、一朝一夕で身につくものではない。普段から物事を客観的に考える癖をつける必要があるだろう。

2) 学者になるまで

学者になるということは、大学に入って学部を選んでから、ずっと大学という場所で努力し続けて、一定の成果を出し続けるということでもある。それは時にお金のかかることでもあり、また、教授職のポストは無限にあるわけではないので、一種の競争に巻き込まれる可能性も覚悟しなくてはいけない。

ただ、あなたが学び続けた言語という学問は決して無駄にはならない。途中で教師や翻訳家、アドバイザーや執筆家として活動を転換することもできるだろう。英語というテーマ自体が社会に求められている題材なので、キャリアの転換は容易なのだ。その時、あなたにそのスキルが備わってさえいれば。

英語がわかることと、英語を科学することの違いとは何か?

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英語がわかるというのは、一般的には文章を読んで、その意味がわかるということだ。だが、英語を科学するというのは、それとは意味が変わってくる。

例えば、He found himself silly seeing what he had done accidentally.(彼は自分がしてしまったことを直視して、自分はなんて愚かなのだろうと思った)といった文章の中で、どうしてここではhimではなくてhimselfが用いられているのだろうか。seeingは現在分詞だが、どうしてhimselfやsillyを修飾しているのではなく分詞構文だと理解できるのか。find A BでAをBだと思うという意味だが、find B Aとすると意味は変わってしまうのだろうか。そもそもどうしてこの文章は”成り立って”いると”認識”されるのだろうか。

また、新しい言葉はどのようにして生まれるのだろうか。どうしてスラングは生まれるのだろうか、どんな人がスラングを使うのだろうか。天気を表すとき、”悪い天気”に関する語彙が多いのは何故だろうか。

こうした「なぜ」を突き詰めて、先行する事例やデータ、実験から納得の行く答えを見出すのが「言語を科学する」ということだ。それは、証券マンや英語教師、翻訳といった仕事とは全く違う体験といえるだろう。なにせ、世界に深く関わる要素に直接触れているといえるのだから。

まとめ

おそらくは、英語教師や翻訳家と比べれば言語学者になりたいという人は少ないだろう。だが、そこには他の職業にはない愉しみが存在している。そのためにできるのは、科学的な思考を養うこと、そして英語という言語自体を”愛する”ということである。

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