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映画「マネーボール」から学ぶ英文法|長文を翻訳する際の考え方

さて、新しい年度の生活に慣れてきた人も多いかと思いますが、新しく仕事を始めた人や新しい場所へ移動した人、学校に入学した人、なにか新しいことを始めた方々は、変化した毎日に何を感じているでしょうか。

映画 マネーボール
(出典:Sony Pictures Entertainment Japan lnc.)

今回から扱う映画、マネー・ボールには、ブラッド・ピットが扮するビリー・ビーンという男が出てきます。ビリーは、かつては将来を有望視された野球のプレイヤーだったのですが、思ったように才能が開花することはなく、今は弱小球団のマネージャーをしています。

ところが弱小球団を勝たせようとして強い選手をスカウトしようとしても、お金のある強い球団に”買われて”しまう、そんな状況を打破するために彼が頼った、ある”理論”とは。

[Today’s phrase]

次の文章を訳してみましょう。

– It’s unbelievable how much you don’t know about the game you’ve been playing all your life.

映画の冒頭で引用されている言葉です。itという仮主語によって、how much you don’t know about the game you’ve been playing all your lifeという長い主語が後ろに来ていることも、以前に似たような表現を扱いましたね。

今回は復習も兼ねて、こうした少し長い文章を訳してみましょう。

まずは、仮主語のitがhow much…以下であることから、how much…以下がunbelievableということになります。unbelievableという単語を初めて見たとしても、un-believe-ableと分解すれば、un-(否定の接頭語)と-able(可能を表す接尾語)から、believeできないという意味になることから、「信じられない」であることも推測できるでしょう。

the game you’ve been playing all your lifeに関して、gameとyou’veの間にはwhich(またはthat)が省略されています。これは関係代名詞で、playingの目的語がthe gameです。「生涯に渡ってプレイし続けているゲーム」とでも訳せるでしょう。ここで現在完了進行形になっているのは、「生まれてから今に至るまでずっと、そしてこれからも」という時の流れを言い表すためですね。

以上から、次のように訳せれば充分に基本的な英文を理解していると言えそうです。

≪翻訳例≫

生涯にわたってずっとプレイしているゲームについて如何に知らないかということは、信じられないことだ。

ただ、もしもより日本語として自然な文章にするなら、次のようにしても良いでしょう。

≪翻訳例≫

私達は、生まれてからずっとプレイしているゲームについて、信じられないほど無知だ。

[Today’s question]

次の文章を訳してみましょう。

– When you have eliminated the impossible, whatever remains, however improbable, must be the truth.

フレーズの項よりも、やや意味が取りづらい英文です。少しずつ、どのように訳していくべきなのかを文法的に考えてみましょう。

まず、when you have eliminated the impossibleの部分について、これはwhenが作る副詞節であることがわかります。When you come home, please call me.(家に帰ったら電話してね)の前半部分と同じですね。

the impossibleについては、形容詞にtheを付けることで、「~なもの」や「~な人」という表現を作る用法があります。the richと言えば「裕福な人」ですし、the well-madeであれば「よく出来たもの」といったようなものですが、このthe impossibleやthe poorなど、一部について使われることが多く、汎用性はそこまで高くないようです。

つまり前半部分は、「あり得ないようなことを消去したとき」がほぼ直訳になるでしょう。そして難しいのは此処から先です。

まず、whateverは、関係代名詞の亜種として紹介したwhatの親戚のようなものです。例えば、what remainsと言えば「残っているもの」の意味ですね。

whateverは「~なものはなんでも」の意味で、つまりwhatever remainsは「残っているものは何でも」の意味になります。そしてこれが主節の主語になるのです。

その後のhowever improbableは、挿入された表現です。「どんなにあり得そうになくても」の意味で、例えばhoweverが文頭に来るはずだったものが、文の真ん中に来てしまったものと考えて良いでしょう。

すると、本当はwhatever remainsとmust be the truthは繋がった文章であることがわかります。howeverによってそれらが分断されていたにすぎないのです。whatever remains must be the truthは、「残ったものは全て真実に違いない」ですね。

以上から、次のように訳せるでしょう。

≪翻訳例≫

あり得ないものを全て除外して、最後に残ったものなら、それがどんなにあり得そうもないと思えることであっても、それが真実なのだ。

ちなみにこれは、シャーロック・ホームズの言葉です。何処かで聞いたことがある人も居るかもしれませんね。

今日はこの辺で!

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